「今年1年、このクラスのみんなでゲームをしませんか?」
5年3組の優しい先生。
彼の奇妙な提案が、子どもたちの運命を変えた。
『ゴースト≠ノイズ(リダクション)』の新鋭が圧倒的筆力で描ききった入魂の傑作長編。
柿埼先生に、手紙を書こうと思う。中学三年になる春、山坂百音は、かつて通っていた小学校の元教員・田児あやめにそう伝えた。その言葉通り百音は、三年半前に起きたできごとについて、五年三組の担任だった柿埼に向け当時の思い出を綴ってゆく。すべては彼の謎めいた提案から始まったのだ。「どうでしょう。今年一年、このクラスのみんなでゲームをしませんか?」――『ニンテイ』と名づけられた、柿埼の考案した奇妙なゲーム。それが彼らの未来を大きく左右することを、このときは誰も予想していなかった。