ルワンダ紛争とは、一般的に、植民地独立を前後してウガンダに逃れたツチ難民を中心に構成されたRwanda Patriotic Front(RPF)が、1990年10月にルワンダ国境へと侵攻したことに始まった、RPFとルワンダ政府との間に起きた内戦のこと。そして、1994年4月6日にルワンダ大統領ジュヴェナル・ハビャリマナ(Juvénal Habyarimana)が暗殺されたことを契機として、ツチを中心にフツも含め80万人にも上る人々が殺戮されたことで、世界を震撼させた紛争のことである。本書では、人種主義がルワンダにおける紛争やジェノサイドの要因として重要性を持つことを、ベルギー支配下の植民地時代を起点とした歴史の連続性の中で植民地独立後の「人種主義的事柄」を考察することによって、明らかにしていく。2014年3月に立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科に提出した博士学位論文「構造的人種主義の生成過程からみるルワンダの紛争要因――制度と社会状況からの考察」を修正・加筆した専門書。
●目次
序章
第Ⅰ部 ルワンダにおける人種主義の歴史的考察――制度と社会状況の変容から
第1章 植民地化から植民地時代最盛期
第2章 社会革命前夜から1964年(1949‐1964)
第3章 共和国の時代(1964‐1990)
第4章 内戦期間(1990‐1994)
第Ⅱ部 人種主義の構造化という観点から考察するルワンダの紛争要因
第5章 ルワンダに展開された人種主義
第6章 社会における「人種主義の構造化」という観点から考察するルワンダ
結論