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註釋清く正しく美しく。寂聴文学の原点、ここに

瀬戸内寂聴が、デビュー前の昭和25年から昭和33年にかけて、様々な雑誌に寄せた少女小説や童話を発掘。その中から特に思い入れの深い作品をセレクトし、さらに書き下ろしの少女小説1本、当時の思い出を綴ったエッセー1本を収録した、作家生活70年にして初の少女小説集である。
少女小説といっても、花が咲き、蝶が舞う、甘い花園の物語ではない。戦後の自由でのびやかな時代の雰囲気の陰で、確かに存在した戦争の傷痕や貧困など、子どもたちを取り巻く厳しい現実もくっきりと描き出す。そしてその中で少女たちは、自身が置かれた状況と向き合い、正々堂々と健気に明日を切り開いて行く。
タイトルの「青い花」は、昭和25年『少女世界』に掲載された短篇で、思春期の少女の揺れ動く心と内省を手紙というスタイルで見事に描き出して三島由紀夫に絶賛された作品である。ほかに、長篇時代小説「ふりそでマリア」(昭和32年『小学六年生』~昭和33年『女学生の友』)などジャンルは多岐にわたるが、ここで描かれる、時に凜々しく、時に無邪気な少女たちの姿は、まさに作家・瀬戸内寂聴そのものである。



【編集担当からのおすすめ情報】
今回新たに書き下ろされた少女小説「二代の手紙」は、「仲よしお手紙」(昭和29年)でおちゃめな文通をしていた二人の少女たちのその後の人生を描いています。