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モーツァルト
註釋近年における実証的な研究も含め、この二百年以上にもわたるモーツァルト研究の蓄積を踏まえて曇りのない目でモーツァルトの生涯を眺めれば、「神童時代」でも「晩年」でもない、その間にある「青春」が、魅力のあるテーマとして立ち現れてくる。モーツァルトは、才能ある若いミュージシャンとして、また、野心を持ったひとりの青年として、どのような青春を送ったのか。いろいろな意味で時代の転換点にあった十八世紀後半の貴族社会の中で、若きモーツァルトは、何を感じ、何を考え、何を経験したのか。そして青春の日々は、そのときどきの作品にどのように反映されているのか。コンスタンツェとの結婚によって、モーツァルトは、父レオポルトから精神的に独立し、新しい人生のステージを迎える。そして多くの人生と同じく、結婚によってモーツァルトの青春は終わる。本書が扱うのは、モーツァルトの青春のいわば前編―性と自我意識にめざめる十代前半から、二十一歳になったモーツァルトが大司教に辞表を提出して旅立つまでの八年弱である。