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謎の男トマ一九四一年初版
註釋作者ブランショの死から2年後、幻のデビュー作『謎の男トマ』1941年初版がピエール・マドールの序文を添えて再刊された。刊行より64年を経た復活。同作の新版が出版された1950年から数えると55年後である。後にも先にもブランショが自ら大半を削って版を改めた作品はこの『トマ』しかない。発売後幾度となく重版されていたというのになぜ初版は破棄されたのか?作家の出発点にして、その後の著作群の基底をなしたこの最初の『トマ』が?「どんな作品にも無数の異文がありうる」と彼は新版の冒頭に書いた。そこにおいて陥没し不可視となっていたあまたのテクストが、復刻によっていま再び召喚される。