「わたし、死なないから」
えっ? いまなんて言った?
ーー底抜けに明るいドタバタの実話
乳がんステージ4からの脳転移!? 作家の「わたし」は旅先のシンガポールでそのことを知った……。
底抜けに明るいがトラブルメーカーの母に残された時間はあと1ヶ月。京都で訪問医療のクリニックを開業している看取りのプロ医の次女による仕切りのもと、母を在宅で看取り、家族葬で送ることになった。
〈脳転移して搬送された病院から帰宅した父と母に、ようこ姉はサ高住のパンフレットを見せていた。
「おいおい時期が来たら考えるわ」
母はちらっと見ただけで、そう言ったようだ。おいおい、それがいまなんやってば! そんなツッコミが、たった数日で現実となる〉
母にいちばん迷惑をかけられながらも心優しき長女、気が強く明晰な次女、行動派の三女、四女の「わたし」、そしてほぼ戦力外の父が一致団結する。喧嘩したり、泣いたり、笑ったりした、「その日」を迎えるまでの20日間を描く実話。
終わりよければすべてよし。死は人生最大の禊である。